ヴァンデミエールの翼


読書の秋ですね。

随分と涼しくなり、夜も長くなってきた昨今、読書にいそしんでいる方も多いのではないでしょうか

私は活字を全く読まない為、読書といっても漫画ばかり読んでいます。

ただ、最近はお店のblogを書いている中、感じた事を文章にする難しさ、自分の文章力のなさが浮き彫りになってきましたので、そろそろ活字にも挑戦してみようかとも考えています。

話は変わりますが、現在を革命暦で表すと何月となるのかご存知ですか

9月22日頃〜10月21日頃は葡萄月、ヴァンデミエールとなります。

私は有り余る時間を利用して数多の漫画を読んできました。

しかし、本当の意味で心に残る作品というのは数える程です。

その中でも特に印象に残っている作品を、かねてよりこのタイミングでご紹介したいと考えていました。

「ヴァンデミエールの翼」という作品です。

人間のまがい物、天使のまがい物、機械のまがい物、何にも属さないヴァンデミエールという自律胴人形が、支配者や戒律等、自身を束縛するあらゆるものから自由を勝ち取る姿を書いた作品で、後の作品にもみられる啓蒙的な作風となっています。

ハンスベルメールの球体関節人形から着想を得たであろう作品名、非常にセンスを感じます。

また、作者特有の繊細で儚く、少し不安定なタッチ、キャラクターの表情や余白は絵として観ても美しく、寓話的な内容と合わさる事で唯一無二の作品となっています。

後の作品に比べると、少しキザな言い回しや台詞的に感じる部分も多いですが、私はこの作品にはこちらの方が合っていると思います。

StoryではなくTale、リアリティに重きを置いている訳ではないのです。

リアリティは無くとも伝わる本質、この作品を寓話的に感じる所以です。

それでは、少しだけ内容に触れてみたいと思います。

レイという少年の住む村にヴァンデミエールの創造主たる座長率いるカーニバルがやってきます。

そこでレイはヴァンデミエールと出会います。

レイは旅芸人であるカーニバルとヴァンデミエールの翼に自由を見ます。

しかし、ヴァンデミエールもまた、造られた人形であり自由がない事を知り、ヴァンデミエールを街へ連れ出そうとするのですが、座長に見つかってしまいヴァンデミエールは右手と胴体を、レイも右手を切り落とされてしまいます。

「この程度ではすまさん。生きている限り逃れられない償いを与えてやる」

気がつくとレイはベッドの上で、カーニバルの姿など最初からまるで存在しなかったかの様でした。

それからしばらくしてレイは村を出て、街で知り合った仲間と事業を興し、仕事は順風満帆レイもいい歳になりました。

そんな時、探していたカーニバルが街に来ている事を知り座長に会いにいくのですが、既に座長は代わった後で手掛かりは残されていません。

「昔から気になってんだけど、お前の右手って妙に華奢だよな」

「ああ…だから忘れられないんだ」

ヴァンデミエール、10月の風

これが一話「ヴァンデミエールの右手」の大まかな流れになります。

私は座長の言う逃れられない償い、これに衝撃を覚えました。

切り落とされたレイの右手にヴァンデミエールの右手を付ける。

これは自慰を禁じられるという事を意味しています。

生きている限り、ヴァンデミエールに慰められる事になるのです。

こんな事を思い付く鬼頭莫宏先生は、紛れもなく鬼才です。

ここまで思い入れのある作品、お店で取扱いたいと考えるのは必然なのですが、書店でない事を理由に断られてしまいました。

代わりと言っては何ですが、お店のサイドテーブルの上に私物を置いています。

基本的には一話完結なので、気に入ったという方は、是非お近くの書店でご注文下さい。


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